お子さまが、頭が痛い、お腹が痛い、だるい、起きられないと訴え、学校に行けないと言うことがあります。病院に行って薬ももらったけれど、症状は繰り返すし、学校に行かない日が増えてきた。だけど、学校を休むと決まれば食欲もあるし、家の中では元気にしている様子。どうやら学校に行きたくないのかなと保護者様は思い始めます。それでも本人は、身体症状があり学校には行けないと言います。

このようなお子さまが受診された時、学校に行きたいのか、行きたくないのか、穏やかに尋ねてみると、「行きたい。」「行けるようになりたい。」と答えるお子さまは少ないです。中には、「学校に行かなくていい日は症状が軽くなるのですか?」と言う質問に「うん」と即答してくれるお子さまもいらっしゃいます。

学校を休みがちになると、「学校に行けないことを治さないと・・・。」と言う思いを持ってしまう保護者様がいらっしゃいます。そして、「学校に行けない今のあなたはダメな子」と言う価値観(メッセージ)を知らず知らずのうちに子どもに持たせてしまっていることもあるようです。

学校と言う場所がそのお子さまにとって安全な場所なのか、困難なことはないのか不安な場所ではないのか考えます。

その困難さ不安な気持ちが身体症状として現れ、学校に行きたくない(行けない)と表現してくる場合、学校に行かないことは自分を守る防衛策になります。過度な甘えではありません。むしろ、それまで頑張ってきたお子さまを甘えさせて、ねぎらうくらいの気持ちがあってもいいと思うことが多々あります。

もう一度、お子さまを見直してみましょう。
●他人の気持ちを想像することが困難ではなかったでしょうか?
●会話中に話がかみ合わないと感じたことはなかったでしょうか?
●じっとしていたり、順番を待つことが困難ではなかったでしょうか?
●一度言ったことをすぐに忘れることはなかったでしょうか?
●勉強を理解することが困難だったりしなかったでしょうか?

思い当たることがあるお子さまは、他のお子さまよりもいろいろなことで頑張ってきたので、心のエネルギーを使い過ぎて登校する力がなくなっていることが考えられます。

目標は学校に行くことではなく、症状と長く付き合っていく力をお子さまと家庭が身に着けることだと思います。
●学校を休んでも街に出よう!
●生活リズムを直そう(早寝 早起き 朝ごはん)!
●気の合う友達との交流や居場所を作ろう!
●家が安心して過ごせるベースキャンプになろう!

学校の先生には、定期に同じリズムで(週1回何曜日と決めて)会いに来ていただいたり、あるいは電話をしてもらうとよいと思います。

スクールカウンセラーとは気が合えば、学校でカウンセリングが出来るとよいです。

医師の役割は体を診ることと思っています。登校刺激をしない大人がいてもいいと思っています。

将来のことを心配しすぎるあまり、今の気持ちに目が向かなくなることがあります。しかし、今を楽しく生きられないお子さまが、将来笑顔でいられるのか疑問に思うのです。なぜなら今の連続が将来につながるとおもうからです。お子さまの生きる力を大切にしたいと願っています。

秋草産婦人科藤原小児科医院