先日、小児科の研修会でこわーい話を聞いてしまったので、お知らせしますね。

 

ネット・ゲーム依存ってどんな状態だと思いますか?

1,ネット・ゲーム時間のコントロールが不能
2,生活の中でネット・ゲームが優先
3,生活上で重大な問題、それでもやめられない

この3つがそろった状態だそうです。

では、なぜ子どもはネット・ゲーム依存になりやすいのでしょうか?

それは、子どもの脳が未完成で、自制をつかさどる前頭葉が未発達だからなんですね。

ここで前頭葉について説明しますね。

前頭葉は集中、判断、我慢、学習などの機能を担っています。この機能で日々落ち着いて勉強や練習を行ったり、社会性を保った行動が可能となります。

ゲームなどもやり過ぎはダメだよと言われて我慢する力は前頭葉の力です。
特に子どものころは未熟で、5歳から25歳になるまで成熟・発達が続きます。

そして、この機能のおかげによって時間をかけた勉強や練習ができます。その成果で学力や技術が向上したり、他人に褒められた利すると、脳内では快楽物質であるドーパミンが放出されて幸せを感じるのです。

では、ネット・ゲームをしているときはどうなるのでしょう?

ネット・ゲームをしているときは、脳内のドーパミン分泌が頻回に認められます。
大して時間もかけず、我慢や学習もせずに、すぐにドーパミンが頻回にたらたらと分泌されると、前頭葉の仕事がなくなり、機能が落ちて(前頭葉が発達せずあるいは委縮して)きます。すると衝動や欲望のコントロールが出来なくなり、ネット・ゲーム依存に進行します。

東北大学で5~18歳を対象に画像で脳の発達を確認したデータがあります。
1週間のうち、1日当たり2時間以上ネット・ゲームに費やす日数で対象を区切っています。

「2時間以上は使う日は1日もない」と言う人が、脳が50cc増えたとしたら、

「1日ある」40cc増えた

「2~3日ある」25~35cc増えた

「4~5日ある」10~20cc増えた

「6~7日ある」脳が増えなかった

だったそうです!!

 

長時間ネット・ゲームにさらされる子どもの関連要因として、

①「保護者のネット・ゲーム時間が1日2時間以上
②「家庭内の約束がない」が優位に関連していました。

大人もドーパミンがたらたらと分泌されると、脳の萎縮や体積が減少することにつながります。

このようにドーパミンにさらされた前頭葉はドーパミンが分泌されても幸せを感じなくなり、ドーパミンが分泌されなくなると不安や怒りを感じるようになり、ゲームをしていないといられない状態になってしまうのです。ドーパミンも枯渇してくるので、ゲームをしても幸せを感じなくなります。

これは、eスポーツのプレーヤーも陥る苦しみとなっているそうです。
ネット・ゲーム依存から抜け出したくても、ゲームの光を見ると幻覚を見るなど依存状態が再現し、まるでアル中(アルコール依存症)と同じになります。

 

以前もブログで話題に出しましたが、

① 1日2時間以上スマホを見ている子どもたちは死にたくなるリスクが上がるとお知らせしました。これは幸せを感じるドーパミンが枯渇したり、脳の反応が鈍くなるからなんですね。

② IT企業の一大拠点となっているアメリカのシリコンバレーでは、子どもの教育のために13歳までネットを与えないそうです。(はめられた~と思うのは私だけでしょうか?)

 

ネットは便利だけれども、危険物だ、楽しい疲れない飽きないを満たす依存物、そして過剰使用は脳に形態的変化をきたしてしまうものという事を伝えなければいけませんね。

ネット・ゲームを使用し始める時には、きちんと約束をしましょう。

「1日1時間以上はネット・ゲームをしない。」

「約束のできない子にはネットは見せない。」

守れない時に、スマホを時間で回収することは大切と思います。
例えるなら、お腹をすかせているのに目の前のご飯を食べるなと言うのと同じことですよね。

これからの子どもたちに「幸せになって欲しい」と願う、大人たちの責任と思うのです。

 

 

 

秋草産婦人科藤原小児科医院